昨季限りでハーゼンヒュットル監督が去り、来季ナーゲルスマンが就任するまでの”繋ぎのシーズン”を過ごすRBライプツィヒ。
今季はELでザルツブルクとセルティックに競り負けてグループリーグ敗退に終わったものの、ブンデスリーガでは目標のCL圏内に位置していて、ここまではまずまずの成績と言える。
この順位をキープするために今冬センターハーフを補強したが、それ以外にここ数年RBライプツィヒがずっと補強すべきでありながら、ほぼ手付かずとなっているあるポジションについて述べたいと思う。
この冬はセンターハーフを補強
夏にナビ・ケイタがリヴァプールへ移籍したRBライプツィヒは、バイエルン・ミュンヘンのルディを狙ったが、シャルケとの争奪戦に敗北。穴埋めが出来ずに市場がクローズしてしまった。
そのため、この半年間はカンプルとデンメへの負担が特大に。ライマーやイルザンカーもいるものの、彼ら2人の仕事をこなせるほどのクオリティには程遠く、明らかに層が薄いポジションだった。
それを受けてクラブはこの冬、センターハーフの補強に着手。
ニューヨーク・レッドブルズからアメリカ代表のアダムス、ザルツブルクからマリ代表のハイダラと、”レッドブル・ルート”からの引き揚げで解決を図った。
アダムスはMLSとブンデスリーガではレベルが違うこと、ハイダラは3月まで負傷離脱という不安要素はあるが、フィットすればこのポジションへの不安はある程度解消されるだろう。
ダブルトップ下の左の補強には積極的
RBライプツィヒが夏にルディ以外で獲得に執着していたのがルックマンだ。
昨季冬にローンでエヴァートンから半年間加入したルックマンは尻上がりにチームにフィットして、終盤にはスタメン出場も増加するほど重要な戦力となった。
クラブは今季完全移籍での獲得を狙い、最終的に€28mのオファーを掲示したが、エヴァートンが放出することはなかった。
また、この冬にもチェルシーの若手ハドソン=オドイを狙っていると報じられていて、4−2−2−2においてダブルトップ下の左の補強優先度は高いようだ。
確かに10番のフォルスベリは今季負傷で稼働率が低く、ブルマがダブルトップ下の左だけでなく中盤ダイヤモンドの頂点でも機能する働きを見せていなければ、この順位にいないだろう。
しかし、このポジション以上に層の薄い場所があると個人的には考える。
ザビッツァーしかいないダブルトップ下の右
そのポジションこそダブルトップ下の右である。
ここは現在オーストリア代表のザビッツァーしかおらず非常に層が薄いのだ。
先日のバイエルン・ミュンヘン戦(0−1)ではザビッツァーが出場停止のため、中盤ダイヤモンドの右に代わりとしてライマーが出場した。奮闘していたが、やはりザビッツァーと比べると物足りないのも確かだった。
実はこのポジションの層の薄さは今季に始まったことではない。
RBライプツィヒが2部にいた15/16シーズン、主にザビッツァーはポウルセンと組んでセカンドトップの役割を担っていた。右で起用されていたのはクラブのバンディエラのカイザーか、ベルギー人のブルーノだった。
翌シーズン1部に昇格すると、ヴェルナーを獲得。ポウルセンと最前線を担当して瞬く間にエースとなる。これによりザビッツァーは1列下がり現在のポジションとなるのだが、この時点で代わりが実質的にいなかった。
このシーズンは、序盤こそカイザーが出場していたものの1部レベルの適応に苦しみ、「スコットランドのベイル」という触れ込みで加入したオリバー・バークも継続的な輝きを魅せることが出来ずに1年で放出されることとなる。
ハーゼンヒュットルはスピードとアジリティのあるナビ・ケイタをここで起用することもあったが、やはり彼は3列目が本職だった。
クラブがこのポジションのテコ入れを全くしようとしなかったわけではない。しかし、本気度はあまり感じられない。
象徴的だったのが昨季のマキシミリアン・フィリップと今夏のマリウス・ヴォルフの獲得競争だ。
フライブルクとフランクフルトで右のアタッカーとして起用されていた2人はRBライプツィヒに必要な人材。特に、フィリップはセカンドトップとしても、4−4−2の右としても振る舞えることからザビッツァーとターンオーバーするのに打って付けの補強だったはずだ。
だが、ドルトムントと競り合うと早々と獲得レースから撤退。彼らは現在、香川真司らと同様にジグナル・イドゥナ・パルクのベンチか観客席が定位置となっている。
ナーゲルスマンの就任が決まっていることから、来季フォーメーションや役割が変わる可能性は高い。
そのため、今冬の補強はアダムスとハイダラで終わり、このスカッドで戦うだろう。
慢性的に問題を抱えたポジションに不安を感じながら、残りのハーフシーズンを観ていこうと思う。