リーグ戦独走、ELでは昨季ベスト4の快進撃そのままにグループリーグ全勝と、今季もヨーロッパで存在感を示しているザルツブルク。
しかし、この冬にチームの中心選手であり、2018年新設の若手版バロンドール「コパ・トロフィー」にムバッペや堂安律らと共にノミネートされたアマドゥ・ハイダラがRBライプツィヒへ”昇格”した。
彼が去っても、リーグ戦は問題無く優勝を勝ち取れるだろう。しかし、ELで昨季のように勝ち上がれるか、穴を埋める4つの候補を考察してみたいと思う。
まず、前半戦の基本布陣を確認していきたい。
リーグ戦は格下相手でターンオーバーするので、ELでのフォーメーションがベストメンバーと言える。
ローゼ監督が昨季就任してからは中盤がダイヤモンドの4−1−2−1−2が基本。
ヴォルフ、グルブランセンのポジションに南野が起用されることもある。
ハイダラは右センターハーフを担当していた。
では、4つの候補を挙げていこうと思う。
①ズラトコ・ユヌゾヴィッチ
最有力候補と言える。
ザルツブルクはラングニックがSDに就任してから若手を獲得して高値で売る方針に転換した。しかし、ラングニックがSD兼任を退いてからは、ヤングスター獲得を原則とするRBライプツィヒの補強方針から一線を画すようになった印象がある(ライプツィヒもカンプルのような例外があるが)。
その象徴的なものが、このユヌゾヴィッチ獲得である。
オーストリア代表で10番を背負い、ブレーメンでも実績十分の31歳獲りは今夏の目玉補強だった。
元々はハイダラの移籍を見越してのものではなく、プレースタイルからしてラツィオへ行ったヴァロン・ベリシャの後釜という位置付けだったのだろう。
だが、ザルツブルクに加入してからの半年は、度重なる負傷やチームのスタイルにフィットし切れずに期待値を下回るパフォーマンスとなっている。
ハイダラの穴を埋めるためには、彼が本来のプレーを取り戻すことが一番の解決法と言える。
なお、彼がスタメンで出場する場合は、中盤の左がユヌゾヴィッチ、右がシュラーガーになると思われる。
②ラインホルト・ヤボ
コソボにルーツを持ち、ケルンで育った26歳は、ドイツでは主にカールスルーエなどでプレーし、山田大記ともポジションを争ったことでも知られる。
カールスルーエではHSVとの入れ替え戦に衝撃的な敗戦を喫して1部昇格に失敗し、オーストリアへ旅立った。
しかし、移籍直後に大怪我をしてしまい、このままザルツブルクでは活躍出来ずに終わると思われていた。
だが、ローゼ監督の就任により、これまでストライカーや、トップ下のポジションで出場していたところを中盤の右にコンバートされた。これが当たって、昨季リーグ戦ではハイダラを温存させる試合で起用されたり、ビッグゲームではハイダラがガス欠の時に交代出場するなど、重要な戦力となった。
今季序盤では本来のストライカーポジションやトップ下で起用されることがあったが、現在負傷している間にエースのダブールを始め、グルブランセン、ヴォルフ、南野、プレヴリャクあたりがアピールに成功しているため、再び配置転換される可能性は大いにあるだろう。
③エノック・ムウェプ
サディオ・マネ、ナビ・ケイタ、ハイダラ、サマセクなどアフリカのヤングプレーヤー発掘に定評のあるレッドブルグループで現在期待されているのが、この21歳のザンビア人だ。
184cmとケイタやハイダラに無い上背も兼ね備えていて、タイプとしては上記の2人よりもすんなりハイダラの後釜に収まるポテンシャルはあると言える。
しかし、スタメンで出場した消化試合のELセルティック戦など、ある程度のレベルの試合となると、監督が全幅の信頼を置けるほどのパフォーマンスを発揮することが出来なかったので、まだ経験が必要かもしれない。
④リーフェリングからの昇格、または補強
ザルツブルクは2部にリーフェリングというセカンドチームを保有しており、そこからの昇格も考えられる。
すでにトップチームでも出場経験のあるドミニク・ショボスライあたりが有力な候補となりうるものの、ビッグゲームで使われる可能性は低いだろう。
また、冬の移籍市場で動くこともあり得るが、補強するのであれば、ハイダラのポジションよりも、層の薄いライナーとウルマーのサイドバックやサマセクのアンカーポジションの方が先決だと思われる。
南野が代表に定着したことで注目度が上がった(気がする)ザルツブルク。
ローゼ監督とレネ・マリッチ体制もおそらく今季限りなので、2019年の戦いにも注目したい。